突然ですが、Sabaráは小葉ジャボチカバです!
イブリッダとサバラの葉の大きさの比較。
サバラは小葉である。
日本でサバラとカタカナで書かれているいわゆる大葉四季成りは
「Híbrida」が正しい名称だと思います。
・・・海外の情報を色々見るたびに和名の「サバラ」と世界で言われる「Sabará」
全く別である可能性が高いのではないかと思っていました
世界、特に原産地のブラジルで言われている「Sabará」は大葉ではなく小葉なんです。
逆に和名の「サバラ」はブラジルで言う大葉の「Híbrida」に非常によく似ています
Sabaráの実の付き方。
同じタイミングで一斉に開花。
一斉に熟すので商業栽培しやすい。
短い柄がつく。
Híbridaの実の付き方。
ある程度の実がついて、収穫を待たずして次の蕾も出始める。
柄は殆ど無い。
ちなみに、台湾の「沙巴」(サバ)ジャボチカバも小葉です。
年に2,3回結実ですが四季成り大葉ではありません。
このあたりを見ただけでも
大葉四季なりはHíbrida(イブリッダ)
小葉鈴なりはSabará(サバラ)
と、理解していただけるかと思います。
できれば早い段階で世界の呼び方にしておかないと、
この先日本でも品種が多くなってきたとき、
ちょっと面倒くさいことになると思っています
今回は、なぜ日本では本来小葉の名前である「サバラ」が大葉四季なりに
使われてしまっているのかについて考察してみたいと思います!
さて、なぜ日本では大葉四季なりをサバラと思ってしまったのか・・・。
私の考えた結論から言いますと、
①世界標準の小葉「Sabará」はブラジルで成木(約30年以上)になると
「年間に4回ほど開花結実するようになる」ので、
「Sabará=四季成りする品種」ということで四季成りの大葉!
じゃあ大葉がサバラ!と、誤って解釈されてしまった
②さらに、Sabaráの葉が小さいということを説明するとき、ポルトガル語で
「jabuticabeira de folha miuda」=(葉っぱの小さいジャボチカバ)
というふうに説明していたので、
Sabaráの品種名をミウーダだと間違えたんじゃないかなぁ
ちなみに、miudaという品種も存在しますが果実は超小粒です。
上の①+②が私の見解です
日本の気候だと、小葉系は開花は少ないので、
小葉はサバラではないと思われたのかもしれません。
しかし小葉サバラも成木は年に複数回開花します。
また、海外の資料で「サバラは葉が大きい」
と書いているものは見かけたことがありません。
よく参考文献として登場する1987年のアメリカの文では、このように書かれていました。
「ブラジルの商業用品種には以下のものがあります。M. caulifloraの一種であるサバラは、最も珍重され、最もよく植えられています。果実は小さく、皮が薄く、甘いです。木は中型で、早熟で、非常に実りが多いです。シーズンが早く、1 年に 4 回収穫できます。花と果実にさび病が発生しやすいです。」(1)
仮にこれが大葉のことだとしてみると・・・
大葉四季成りのジャボチカバは歴史的にはかなり新しい品種ですし、
ブラジルでの結実回数は4回どころではないです。
それよりも遥かに多いです。(台湾で8回以上)
大葉の果実の持ちは小葉より悪く、
常温だと一日で劣化してしまい数日で醗酵し糖度が全くなくなるため
「商業用でブラジルで最もよく植えられている」
というのも違和感があります。
ブラジルで1 年に 4 回収穫できる商業用の品種は
小葉系統の「Sabará」である可能性が高いです。
「Sabará」について以下のような説明もありました。
『高さ 6~9 m の半落葉樹。枝は細長く、
円筒形で無毛で、先端は平らになっています。
葉は膜状で無毛で、 長さ 2.4~4.3 cm、 幅 0.6~1.6 cm
で、裏面に軟毛のある中脈があります。
花は白く、主茎と成熟した枝に沿って束生しています。
枝 1 メートルあたりの
花序の数は 42~185 個、
花の数は 170~1500 個、
果実の数は枝の直径に応じて 30~400 個です。
果実は球形のベリー類で、熟すと薄く脆い黒色の皮ができます。
熟した果実の主成分である果肉は白くゼラチン状で、
1~4 個の種子を含み、非常に甘い』(2)
葉の大きさや実の密集度など、明らかに小葉ジャボチカバについての説明です。
さて、日本で大葉が和名「サバラ」として認識されているのは、
このサイトの影響が大きいのかと思いました。
このサイトの書き方では小葉系=ミウーダと取られてしまいそうですが、
実際は小葉だけでも沢山の種類があります。
このサイトの情報のソースはおそらく
「農業教育における熱帯果樹栽培に関する基礎研究」(3)なのですが
この論文では、「通称ジャボチカ バと呼ばれるのは下記に示す 3 種類である。」
と、ジャボチカバの品種を限定しすぎてしまっています。
それと、参考文献が日本のものだけですので、
おそらくどこかの段階で勘違いが生まれているものと思われます。
「果実は他のジャボチカバに比べて最も小形であるが,味は美味。」
というミウーダに関する説明は合っています。
が、サバラ「も」小葉である可能性について触れていません。
無理やり3種類にまとめようとした結果だと思います。
ミウーダというのは「小葉系の中」でも、
実が小さく(1センチ台)柄の付く甘い品種になります
実が3cm近くなる小葉「Sabará」とは別品種です。
長くなりましたが、私の結論としましては、
「Sabará」=ブラジルでは1年に複数回結実する小葉のジャボチカバ
大葉の「和名サバラ」は全く別。
大葉四季なりはおそらくブラジルでいう「Híbrida」である。
小葉ジャボチカバSabaráはブラジルでは年に数回開花するので、
日本人が複数開花するのは大葉と思い込んで勘違いでつけてしまっている。
です
世界に発信した場合ねじれて伝わってしまいそう。
ここに載せたもの以外にも色々な動画や資料を見てそこそこ自信がある説ですが、
なにか間違っている可能性もありますので、
資料で詳しく解説している物があれば、是非教えていただきたいです
(1)Morton, J. 1987. Jaboticabas. p. 371–374. In: Fruits of warm climates. Julia F. Morton, Miami, FL. Jaboticabas
(2)Luiz C.C. Salomão, ... Leila C.R. de Lins, in Exotic Fruits, 2018
https://www.sciencedirect.com/topics/agricultural-and-biological-sciences/plinia-cauliflora
(3)